
ま ずは読んでみる
前提として、この記事を書こうと思ったのはモンハン開発陣をけなしたいからという訳じゃないです。どちらかといえば、この頃に話していた『大事なところ』をもう一度思い出して取り入れてほしいという気持ちで書こうと思ったんです。
では、その「大事なところ」ってどこなのか。
引用を読んでみましょうか。
辻本:
そもそも最初のコンセプトには
“ネットワークアクションゲーム”と掲げていました。
ただ、その前に付いていた言葉がありまして、
“誰でも入れる”“誰でも参加できる”。
それはすごく重要なポイントでした。
一般にネットワークゲームというとどうしてもドップリと浸かってガツガツと遊ぶような印象がありますよね。
でも、このゲームでめざしたのは“ゆるさ”なんです。
ですから、たとえばとりあえず肉焼きをしていて
それで楽しければ、この世界ではいいですよという雰囲気をつくったり、釣りをしてるだけでも楽しいですという人がいてもそれはそれでいいと考えてつくったんです。
岩田:
「釣りだけでいいんです」と聞くと、なんか『どうぶつの森』みたいですね(笑)。
辻本・藤岡:(笑)
岩田:
もちろん見た目やゲームシステムはまったく違うものですけど、基本的な考えの部分では近いところもありますよね。
藤岡:
そうですね。
ネットワークにつないでみんなが同じ世界に入っていくんですけど、メンバー全員が同じことをしなくちゃダメなんじゃなくって、それぞれが思い思いのことをしながらも、目的が達成されて、成果がみんなに返っていくと。
岩田:
思い思いのことができる“ゆるさ”がある。
藤岡:
はい。
しかも、あまり長い時間をかけなくてもいいように、長くても1時間単位くらいで1回のクエストが終わるような仕組みにしました。
最近、モンハンのゲーム内・外問わず「ゆるさ」が減っているような気がしてなりません。

やれストーリーに厚みだ、
やれ武器の弱体化だ、
やれ採取で取れる報酬少なくするんだ、
やれ討伐タイム競うだなんだと…。
全部が悪いわけじゃないんです。
でもやっぱり、もっとゆるさを残してほしかった。
モンスターを狩猟せず魚や花ばっかり採取しててもいいじゃない。
それでモンスターを狩るためのアイテムがドバっと手に入ったっていいじゃない。
当時岩田さんと話していた「モンスターハンター」の
「良いところ=ゆるさ」
って一体なんなんでしょうか。
岩田:
「狩りのゲーム」と言われるとちょっと殺伐とした印象があったりしますしね。
藤岡:
そうなんです。
狩りをするというとどんどんストイックなイメージになってしまうんです。
僕がこのシリーズをつくりながらいちばん気にしていることは、殺伐とさせたくないところなんです。
岩田:
ゲームがひたすら殺伐としていたら、すごくしんどい世界になってしまいますからね。
居心地がいい場所にはなりえませんし。
藤岡:
ただ、このゲームのなかでやってる行為自体は
それなりにヘビーなこともあるんです。
そういう世界でありながらも、自分に楽しみがいろいろと返ってきて、殺伐としない世界を実現したいなあと思いながらつくっているんです。
岩田:
何をしていてもいいので殺伐としたものが薄められていくような。
藤岡:
そういう感じのイメージです。
もちろん大きなテーマは“狩り”でそれにぶら下がってみんなは動くんですけど、なんかもうちょっとゆるくて自由というか・・・。
昨今、ワイルズは処理落ちやクラッシュが問題視されていますが、その上コンテンツが少ないから人がいなくなっていると言われることがありますよね。
私もそうだと思っていました。
ただ、忘れてはいけないのがモンハンが流行った理由です。
岩田:
ちなみに『モンスターハンター』は、短い時間でも一区切りをつけられるゲームでもある一方、すごく濃い『モンスターハンター』プレイヤーたちが何百時間とか何千時間も遊んだりしていますよね。
お客さんたちがそんなに長時間遊び続けられる理由はどこにあると思いますか?
藤岡:
最初に思ったのはゲームに仕込まれてる内容が多ければ、長時間遊んでいただけるんじゃないかと。
岩田:
普通はそう考えますよね。
たくさん仕込んであるからたくさん遊ぶんだと。
シナリオもステージもたくさんあるから長く遊べるというのが、ゲーム業界がボリュームを増やしてきた一般的な考え方でしたからね。
藤岡:
でも、そうじゃないんだということを、最近の携帯機シリーズの現象を見ていて感じたんです。
そもそも、携帯機シリーズは何千時間も遊べるようなボリュームではないんですよ。
そこで、何千時間も遊んでいる人を見ると、同じことをずっとやってるんですね。
で、その結果、何かの素材は出てくるんですけど、それが欲しいから遊んでるというよりも、友だちといっしょに遊ぶこと自体が楽しいから、何時間もやってるような気がするんです。
岩田:
つまり、新しいシナリオが出ますとか、何かエンディングが見られますとか、新しい武器が手に入りますというのが動機ではなくて、『モンスターハンター』という世界で友だちといっしょに遊ぶのが楽しいから何千時間もプレイするお客さんがたくさんいらっしゃるんですね。
この「社長が訊く」を読む限り、モンハンが流行ったのは友達と遊ぶための導線がしっかりあり、そして別のことをして遊ぶ「ゆるさ」があったことが要因だと私は考えます。

ワイルズはいろんな原因で遊ぶのがためらわれる作品ですし、「リンクパーティ」システムがわかりにくいなどの要因から友達と繰り返し遊ぶのが楽しくなる導線がわかりやすく用意されてるわけじゃないのも残念ところ。
「コンテンツの消費速度が上がったからさらにコンテンツを上乗せ!」ではなく、友達と繰り返し遊ぶためのわかりやすい導線・システムづくりが今のモンハンには必要だったのかもしれません。
コロナ禍を経て、人は人との繋がりを失うとひどく落ち込んでしまうことが分かりました。
つまり、今の時代において友達との繋がりを感じられる作品づくりはモンハンだけでなく、人の心すら救うポテンシャルもあるわけです。
次の作品では、かつての
モンハンの"ゆるさ"と
人との繋がり
両方を強く感じられるよう目指してほしいですね。



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